労働条件に対する基本法である労働基準法では、原則と例外を定めていますが、例外を採用するときには、それなりの手続きや段取りが必要となります。

この手続きや段取りが行われていない為に労働問題になるケースも少なくありません。

例えば、労働基準法では法定労働時間として

原則
1日につき8時間
1週間について40時間

と定めています。

つまり、法定労働時間を超えた場合には、残業手当の支給が必要となるのですが

変形労働時間制を用いると法定労働時間を

例外
1日につき9時間
1年を平均して週40時間

と定めることもできます。

※就業規則等に一定の事項を定める、労働基準監督署に届ける、勿論労働者への周知が必要です

しかし、変形労働時間制の手続きや段取りをおこなわないで

労働者に対して1日9時間労働とした場合

少し知識のある労働者であれば、法定労働時間は8時間で1時間分の残業が未払いと考えます。

また、労働基準法の定めに満たない労働条件を定めた労働契約は、その部分について無効となりますから

1日時間で 月給20万として採用したものは

1日時間で 月給20万 プラス1日につき1時間分の残業手当

となります。

※上記の場合だと残業手当は月にして3万円位の未払い残業となり、2年遡及されると72万円位となります。

仮に退職を予定している労働者が訴えを起こして裁判となったときに

『変形労働時間制なんて聞いてない』『残業手当を支払ってもらえなかった』

と言われる事のないように、あらかじめ社労士さんに相談しましょう。

注※労働基準監督署の調査等においては、変形労働時間制の届け出忘れとして支払いの遡及を逃れるケースもあるようですが、裁判ではどのようになるでしょうか