皆さんこんにちは
社会保険労務士の竹内です。
社会保険労務士の繁忙期が終わり、ほっと一息したいところですが、今月は労働問題の対処に追われそうです。
今回は『退職の理由』をめぐるトラブル事例を紹介します。
労働問題の多くは退職時に起こりますが、円満に見えた労使関係が突然、労働問題に発展する場合があります。
一般的に退職の理由は大きく別けると次のようになります。
①事業主都合
解雇や退職勧奨など
②自己都合(個人的な事情)
転職希望や一身上の都合など
③労働者の判断によるもの
賃金低下やハラスメントなど
実はこの退職時の理由により雇用保険の失業給付が大きく変わります。
①事業主都合の退職では待期期間終了後、失業給付がすぐに給付されるのに対し
②自己都合の退職では給付制限を受け、一般的には給付開始まで3ヶ月かかります。
また給付される日数にも大きな差があります。
※つまり失業給付を受けるには事業主都合の退職の方が断然有利なのです。
この事から円満退職の予定であった労働者が後になって『実は事業主都合です』と申立てる事があります。
※当事務所の顧問先においても今年既に4件発生しました。
事実と相違があるならば、この申立てに応ずる必要は無いのですが、話がこじれてくると、第三者が登場して来ることがあります。
※第三者は労働基準監督署であったり、弁護士さんであったり時には労働者の親御さんのようなケースも有ります。
労使関係が一度悪化すると、敵対した労働者は『残業未払』や『ハラスメントがあった』『退職勧奨だった』等、あれこれと訴えを起こしてくるのです。
大切なのは、問題なさそうに思えても、後でトラブルにならないように、退職時に退職理由を充分に確認し、書面にて退職願いを取っておく事ではないでしょうか。
※退職願いには一身上都合や自己都合等の曖昧な理由ではなく、転職希望や家庭の都合などできる限り具体的な自由を記載してもらうと良いでしょう。